慰謝料請求

不貞行為の時効期限と慰謝料請求を有利に進めるための方法

一度は許した不貞行為でもやっぱり慰謝料請求したい

パートナーの不貞行為で離婚した時の、精神的な苦痛は大変なものです。「あの時は許したけど、やっぱり慰謝料を請求したい」と、離婚後に心変わりすることは珍しい事ではありません。

後々になって、慰謝料を請求していればよかったと後悔している人も多いでしょう。心の傷が癒えなくて生活に支障をきたしているならなおさらのこと。ここでは気になる「不貞行為の時効」や「慰謝料請求を有利に進める方法」についてまとめました。

目次

1.不貞行為に対する慰謝料請求には時効がある

2.時効期間が変わる条件

3.時効を過ぎている場合は

4.慰謝料請求のための準備

5.不倫発覚から時間が経っていても可能性はある

不貞行為に対する慰謝料請求には時効がある

「不倫に時効があるの?」と疑問に感じている人もいるかもしれません。結論から言えば、不倫に対する慰謝料請求には時効が存在します。また、パートナーの不倫に気が付かなかった場合でも、不倫が始まった時点から一定期間が過ぎると、慰謝料請求できなくなる制度も設けられています。このように、法律では2種類の不倫の時効期間が定められているのです。

不倫が発覚してから3年間

一定の期間が過ぎると権利が消滅することを「時効」といいますが、法律上、不法行為に当たる不倫にも時効が定められています。それは不倫があったことと、不倫相手が誰なのかが判明してから3年間と決まっており、この3年以内に慰謝料の請求手続きをしなければ、請求権は消滅してしまうのです。

また、パートナーが不倫をしていることは分かっていても、不貞行為の相手が誰なのかを特定できていない場合、不倫相手が判明した時点から時効は開始します。

このように、慰謝料を請求するためには、できるだけ早めの行動が明暗を分けると言えます。しかし、手続き次第ではこの時効を止める事も可能です。

不倫関係が始まってから20年

時効とは別の制度に、不倫が始まって20年間が過ぎると慰謝料が請求できなくなる「除斥期間」があります。その除斥期間中に、夫の不貞行為を知った場合は、その時点から時効のカウントが始まります。

ただ、3年の時効は手続きによって延長が可能ですが、除斥期間の場合、時効を止める制度はありません。そのため不倫関係が始まって20年が過ぎると、慰謝料請求権は消滅してしまうので注意が必要です。

時効期間が変わる条件

不貞行為には時効があり、一定期間が過ぎれば、慰謝料を請求する権利は消滅してしまいます。そんな時「時効の期間を延ばすことはできるの?」と疑問に思う人もいるはずです。法律上、時効期間が変わる条件はいくつか存在します。それらを活用して時効を止めることも可能なのです。

裁判中は時効が中断される

時効が目の前に差し迫っている場合「時効を止めたい」と思う人も多いでしょう。そんな時、裁判を起こして慰謝料請求すると、時効の進行を中断することができます。裁判中に時効の日が通過する予定であっても時効が進行することはありません。このように、裁判を起こすことで時効のカウントを最初の時点に巻き戻すことが可能です。

また裁判を利用した手続きには、不倫の慰謝料請求について裁判を起こす「訴訟の提起」と、当事者間の話し合いでまとまらなかった場合の、家庭裁判所に「調停を申し立てる」という二つの方法があります。

どちらも時効を止めることが可能で「時効の期間を延ばしたい」という時に、有効な手段といえるでしょう。ただ裁判を起こすと、それなりに時間と費用がかかることも、頭に入れておく必要があります。

離婚後3年以内なら慰謝料請求出来る

配偶者に慰謝料を請求できるのは、基本的には不倫の事実を知ってから3年間です。ただ不倫で受けた精神的苦痛に対する離婚慰謝料に関しては、離婚が成立してからカウントが開始されます。そのため離婚後の3年間は離婚慰謝料を請求することができるのです。つまり婚姻関係を続けている限り、原則として時効は成立しません。

仮に不倫発覚から3年以上経過していても、離婚した時から3年以内であれば、元配偶者に対しての慰謝料請求は可能です。しかし、不倫相手へ慰謝料を請求する場合は、不貞行為があった事実と不倫相手が誰かを特定できた時点から、3年間の時効のカウントが開始されます。

よって、不倫相手の素性が分からない間は時効は進みませんが、相手が誰か分かった時点から3年間を経過すると、慰謝料は請求できなくなります。配偶者に慰謝料を請求する場合と、不倫相手に請求する場合では若干異なるので注意しましょう。

  慰謝料を請求できる「時効期間」
配偶者に「離婚慰謝料」を請求する場合      離婚後の3年間
不倫相手に「慰謝料」を請求する場合  不貞行為があった事実と、不倫相手が特 定できた日から3年間

内容証明郵便を使って慰謝料請求をする

裁判を起こすには十分な準備が必要です。そのため「急にはどうしても起こせない」場合もあるでしょう。そういった際は「催告」することで時効の成立を遅らせることができます。催告とは、相手に内容証明郵便を送り慰謝料の請求を行う事をいいます。

この催告という制度を利用することで6か月間時効を遅らせることが可能になり、その間、裁判の準備期間に当てる事ができるというわけです。

ただし催告は1度と決まっており、2度目は認められません。この6か月間に訴訟を起こす必要がある事を、忘れずに覚えておきましょう。

時効を過ぎている場合は

すでに不倫の時効が過ぎている場合「一体どうしたらいいの?」と、困っているという人も少なくないはずです。そのような場合、もう請求することができないと諦めて、落胆しているかもしれません。しかし時効が過ぎていても、条件によっては慰謝料請求が可能になる場合があるのです。

相手が債務の承認をしていれば慰謝料請求可能

時効が過ぎていても、相手方が「債務承認」をした証拠がある場合は、慰謝料の支払い義務が成立します。債務承認とは、不貞を働いたパートナーや不倫相手が「不倫をして申し訳なかった」という謝罪や、慰謝料を払う約束するなど、相手が責務を認めたことをいいます。時効期間が過ぎてしまっても、相手に払う意思があるなら、慰謝料を受ける事に法的な問題はありません。

口頭での債務承認も認められますが、後々「そんなこと言った覚えはない」と言われ、トラブルにならないために日付や本人の捺印がある念書を残しておきましょう。なお債務承認が認められた場合、また振出しに戻り、その日から3年間が慰謝料を請求できる時効期間となります。

弁護士へ相談する

基本的に慰謝料請求の手続きは、自分自身で行う事が可能です。ただ一般的に、時効を超えてからの請求は非常に難しいのが実情です。しかし、専門家である弁護士に相談することで、慰謝料の請求が可能になる場合があります。

自身で手続きするとなると時間的な余裕が無かったり、相手と直接連絡を取らなければならないという、心理的なストレスが伴う事も。

さらに手続きには、専門的な知識を要することが多く、手間が増えてしまうデメリットがあります。それにより、時効期間のタイムリミットがさらに短縮して、十分な証拠を準備できなくなってしまう可能性があります。スムーズな手続きを望むなら、プロである弁護士に依頼するのが良いです。

慰謝料請求のための準備

裁判を有利に進めるためには、十分な準備が不可欠です。そのためには、不貞が発覚したら慰謝料請求に向けて、できるだけ早めに行動を起こすことが求められます。放置していると、その間に時効期間が短くなるだけではなく、不倫に関する証拠集めなどの準備も、おろそかになる可能性があるからです。

さらに時間が経過するにしたがって、メールやSNSなどのやり取りを消去されたり、ホテルの領収書等を破棄されるなど、不貞の証拠を掴むことが困難になるという側面もあります。ここでは裁判で有利になる証拠の基準や、確実な証拠を得るための方法などをまとめました。

慰謝料請求には不倫の証拠が重要

慰謝料を請求する際に必要なのが不倫の証拠です。裁判で証拠として採用されるものに、音声動画メールやSNS、日記、探偵事務所等の調査報告書などがあります。

ホテルに出入りする決定的な写真や、肉体関係があったことが推測される内容のメールであれば、裁判を有利に進めることができるでしょう。不貞を働いた確たる証拠を提示することで、慰謝料請求もしやすくなります。

一見、着新履歴やメールのやり取りだけでも十分な証拠のように思えますが、実際はそれだけでは十分ではありません。「単なる日常的な会話をしただけだ」と相手が言い逃れる可能性があるからです。このように、不倫の確実な証拠の提出が、裁判をスムーズに進めるカギといえます。

確実な証拠を得るために探偵の力を借りる

不貞行為の証拠として有効なのは肉体関係の有無です。ホテルに出入りする決定的な写真や、有力な目撃情報など、明らかに不倫だと断定できそうな証拠であれば、裁判でも有利にはたらきます。ただ、これらの確実な証拠を一人で得るためには、大変な労力と時間が必要となることが予想されます。

さらには専門的な知識も必要です。実際、第三者が見て納得する証拠を一人で集めるのは、限界があるといっていいかもしれません。少ないリスクで裁判に耐えうる証拠を集めたい場合は、プロである探偵事務所に依頼するとよいでしょう。

不倫発覚から時間が経っていても可能性はある

不倫が発覚して時間が経ってしまうと、つい「今さら慰謝料をもらうのは無理に決まっている」と諦める人もいます。しかし、行動を起こすのは今からでもけして遅くはありません。実際に不貞行為の時効期限を伸ばすことは可能ですし、期限を過ぎていたとしても慰謝料請求ができる可能性もあります。

そうはいっても「一人ではどうしていいか分からない…」と悩んでいる人が多いのも事実です。迷っている間に時効が過ぎてしまい、後々後悔してしまうというケースも。そんな時は、専門家である探偵事務所や弁護士に協力してもらう事もひとつの手です。慰謝料請求を有利に進める心強い支えとなってくれます。